記事: ビスベンチアミンとは?フルスルチアミン・ベンフォチアミンとの違いを解説

ビスベンチアミンとは?フルスルチアミン・ベンフォチアミンとの違いを解説
「ビスベンチアミンって何?」「フルスルチアミンと何が違うの?」と、成分表示や医薬品のパッケージを見て疑問に思ったことはありませんか?
ビスベンチアミンは、ビタミンB1を体に取り込みやすくするために日本で開発された「ビタミンB1誘導体」の一つです。名前が似た成分がいくつかあるため、違いがわかりにくいのが実情です。
本記事でわかること
- ビスベンチアミンとは何か(構造・基本データ)
- フルスルチアミン・ベンフォチアミンとの違い
- ビスベンチアミンに期待される働き
- 医薬品とサプリメントでの扱いの違い
- 摂取するときの注意点
結論:ビスベンチアミンは吸収されやすく設計されたビタミンB1誘導体
ビスベンチアミンは、水に溶けやすく体に取り込まれにくいビタミンB1(チアミン)の弱点を補うために、構造を工夫して作られた成分です。体内でビタミンB1に戻り、通常のビタミンB1と同じように働きます(1)。
ビスベンチアミンの押さえておきたいポイント
- ビタミンB1の誘導体で、体内でビタミンB1として働く
- フルスルチアミンと同じ「ジスルフィド型」だが、構造・開発元・食品での扱いが異なる
- 日本では医薬品の成分であると同時に、食品添加物(指定添加物)としても認められている
まずは、ビスベンチアミンがどのような成分なのかを見ていきましょう。
ビスベンチアミンとは?
ビタミンB1の弱点を補うために生まれた「誘導体」
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変えるときに欠かせない水溶性ビタミンです(4)。一方で、水溶性であるため腸からの吸収に限りがあり、熱にも弱く調理で失われやすいという特徴があります(4)。
この弱点を解決するきっかけとなったのが、京都大学の藤原元典氏による研究です。ニンニクに含まれる成分(アリシン)とビタミンB1が結びついた「アリチアミン」が、体内でビタミンB1に戻り、安定して吸収されることが見出されました(5)。
この発見をもとに、脂溶性を高めたビタミンB1誘導体が国内の製薬会社で次々と開発されました。ビスベンチアミンもその一つで、医療用医薬品「ベストン」として1962年に販売が開始されています(1)。
構造の特徴:ジスルフィド結合とベンゾイル基
ビスベンチアミンは、ビタミンB1の分子2つが「ジスルフィド結合(硫黄同士の結合)」でつながり、それぞれに「ベンゾイル基」が付いた構造をしています(1)。
この構造により、水にはほとんど溶けず、油になじみやすい性質を持ちます(1)。医療用医薬品の添付文書では、腸管からの吸収性と組織への移行性がよいビタミンB1誘導体であると説明されています(1)。
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | ビスベンチアミン |
| 英語名 | Bisbentiamine |
| CAS番号 | 2667-89-2 |
| 分子式・分子量 | C38H42N8O6S2・770.93 |
| 性状 | 白色の結晶または結晶性の粉末。においはなく、味はやや苦い |
| 代表的な医薬品 | ベストン糖衣錠(医療用医薬品) |
※分子式・分子量・性状は医療用医薬品の添付文書に基づきます(1)。
ビスベンチアミンとフルスルチアミンの違い
「ビスベンチアミン フルスルチアミン 違い」は、よく調べられている疑問の一つです。どちらも脂溶性を高めたビタミンB1誘導体ですが、以下のような違いがあります(1)(2)(6)。
| 比較項目 | ビスベンチアミン | フルスルチアミン |
|---|---|---|
| 構造のタイプ | ジスルフィド型(ビタミンB1が2分子結合し、ベンゾイル基を持つ) | ジスルフィド型(ビタミンB1にテトラヒドロフルフリル基が結合) |
| 略称 | — | TTFD |
| 分子量 | 770.93 | 398.54 |
| におい(添付文書の記載) | においはない | においはないか、わずかに特異なにおいがある |
| 代表的な医薬品 | ベストン(1962年販売開始) | アリナミンF(1961年販売開始) |
| 日本の食品添加物(指定添加物) | 指定あり | 指定なし |
共通点:体内でビタミンB1に戻って働く
どちらも腸から吸収されたあと、体内でビタミンB1に戻り、補酵素型のビタミンB1(チアミン二リン酸)に変わって働きます(1)(2)。医療用医薬品としての効能・効果の範囲もほぼ共通しています(1)(2)。
違い①:構造とにおい
フルスルチアミンはビタミンB1にテトラヒドロフルフリル基を結合させた構造で、添付文書では「においはないか、わずかに特異なにおいがある」とされています(2)。一方、ビスベンチアミンは「においはない」と記載されています(1)。
違い②:食品(サプリメント)への使用
日常生活で関わりが大きいのがこの違いです。ビスベンチアミンは食品衛生法にもとづく「指定添加物」に含まれており、食品の栄養強化などの目的で使用が認められています(6)。一方、フルスルチアミンは指定添加物リストに掲載されていません(6)。
そのため、フルスルチアミンは主に医薬品(市販薬・医療用医薬品)の成分として、ビスベンチアミンは医薬品に加えてサプリメントなどの食品にも配合される成分として使われています。
どちらが優れている?
ビスベンチアミンとフルスルチアミンの吸収性を、同じ条件で直接比較した公的なデータは、本記事の調査範囲では確認できませんでした。そのため、どちらが優れているとは一概に言えません。
医薬品として使う場合は医師・薬剤師の判断に従い、サプリメントを選ぶ場合は配合量や続けやすさで判断するのが現実的です。
ベンフォチアミンとの違い
ビタミンB1誘導体には、ジスルフィド型とは別のタイプもあります。代表的なのがベンフォチアミンです(3)。
| 比較項目 | ビスベンチアミン | ベンフォチアミン |
|---|---|---|
| 構造のタイプ | ジスルフィド型 | S-アシル型(S-ベンゾイルチアミン O-モノリン酸) |
| 代表的な医薬品 | ベストン | ビオタミン、ビタメジン(配合剤)など |
| 日本の食品添加物(指定添加物) | 指定あり | 指定なし |
ベンフォチアミンは、成人を対象とした試験で、チアミン塩化物塩酸塩(通常のビタミンB1)より消化管からの吸収がよく、血中のビタミンB1濃度が高く保たれたと報告されています(3)。ただし、ビスベンチアミンとの直接比較ではありません。
なお、海外ではベンフォチアミンがサプリメントとして流通していますが、日本では指定添加物リストに掲載されていない点に注意が必要です(6)。
ビスベンチアミンの効果・働き
ビタミンB1としての働き
ビスベンチアミンは体内でビタミンB1として働きます。ビタミンB1は、ブドウ糖をエネルギーに変える過程で必要な補酵素の材料です(4)。
ビタミンB1が不足すると、食欲不振や疲れやすさ、だるさなどが現れ、重い場合は脚気やウェルニッケ・コルサコフ症候群につながることが知られています(4)。
糖質を多くとる食生活の方や、運動量が多くエネルギー消費が大きい方は、ビタミンB1が不足しないよう意識したい栄養素です。
医薬品として認められている効能
医療用医薬品(ベストン)では、ビタミンB1欠乏症の予防・治療、需要が増える時期や食事からの摂取が不十分な際の補給などが効能・効果として承認されています(1)。
※これらは医薬品として承認された効能・効果であり、ビスベンチアミンを配合したサプリメント(食品)に同じ効果があることを示すものではありません。
ビスベンチアミンは医薬品?サプリにも使える?
ビスベンチアミンは、使われ方によって「医薬品の成分」と「食品添加物」の2つの顔を持ちます。
| 区分 | 主な例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 医薬品 | 医療用医薬品(ベストン)など | 効能・効果が承認されている。用量は医薬品ごとに定められている |
| 食品(サプリメント等) | ビタミンB1を配合したサプリメントなど | 指定添加物(ビタミン類)として使用可能。病気の治療・予防などの効能はうたえない |
サプリメントは医薬品ではないため、「〇〇に効く」といった効能をうたうことはできません。サプリメントは日々の食事で不足しがちなビタミンB1を補う目的で活用するとよいでしょう。
ビスベンチアミンの臭いは気になる?
ビタミンB1誘導体はニンニクの成分研究から生まれたこともあり、「においがあるのでは?」と気にされる方もいます。
医療用医薬品の添付文書では、ビスベンチアミンの原薬は「においはない」と記載されています(1)。ただし、サプリメントの場合は他の配合成分や製法によってにおいが変わるため、気になる方は商品ごとの口コミや仕様を確認するのがおすすめです。
摂取するときの注意点
注意しておきたいポイント
- 医療用医薬品では、副作用として軽度の食欲不振、胸やけ、悪心、軟便、下痢が報告されている(1)
- ビタミンB1は耐容上限量が設定されていないが、サプリメントでの大量摂取により頭痛や不眠などが報告されている(4)
- 医薬品やほかのサプリメントと併用すると、ビタミンB1の摂取量が重複する場合がある
- 持病がある方・服薬中の方・妊娠中や授乳中の方は、事前に医師または薬剤師に相談する
サプリメントを利用する場合は、商品に記載された1日の目安量を守りましょう。
よくある質問
ここからは、ビスベンチアミンに関するよくある質問について回答します。
まとめ
今回は、ビスベンチアミンの特徴やフルスルチアミン・ベンフォチアミンとの違い、期待される働きや注意点について解説しました。
- ビスベンチアミンは、吸収されやすいよう構造を工夫したビタミンB1誘導体
- フルスルチアミンと同じジスルフィド型だが、構造やにおい、食品での扱いが異なる
- 日本では医薬品の成分であると同時に、指定添加物としてサプリメントにも使用できる
- 体内ではビタミンB1として、糖質をエネルギーに変える働きに関わる
- 服薬中・持病がある方などは、利用前に医師・薬剤師へ相談する
ビスベンチアミンの特徴を理解したうえで、ご自身の食生活やライフスタイルに合わせて取り入れてみてください。
※持病のある方・服薬中、妊娠・授乳中の方は医師に相談し、利用を検討してください。
最終更新日(2026.10.22)
