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記事: テストステロンは筋トレで増える?研究でわかった効果的な メニューと5つのNG習慣

テストステロンは筋トレで増える?研究でわかった効果的な メニューと5つのNG習慣
テストステロン

テストステロンは筋トレで増える?研究でわかった効果的な メニューと5つのNG習慣

「筋トレをするとテストステロンが増える」という話を、ジムやSNSで耳にしたことがある方は多いでしょう。一方で、「どんなメニューがいいのか」「本当に筋肉のつき方に関係するのか」まで正確に説明できる情報は、意外と多くありません。

結論からお伝えすると、筋トレの直後にはテストステロンが一時的に上昇することがわかっています。ただし、その一時的な上昇がそのまま筋肉の増え方を左右するわけではない、という研究結果も複数報告されています。

本記事では、テストステロンと筋トレの関係を研究ベースで整理したうえで、分泌を意識したメニューの組み方、ランニングなど有酸素運動との付き合い方、そして筋トレの成果を台無しにしやすい生活習慣を解説します。

本記事でわかること

  • 筋トレでテストステロンはどのくらい・どんな条件で上がるのか
  • 「テストステロンが上がる=筋肉がつく」が正しくない理由
  • スクワットなど、分泌を意識した筋トレメニューと頻度の目安
  • ランニング・有酸素運動はテストステロンを下げるのか
  • 睡眠不足や極端な減量など、筋トレの成果を台無しにする5つのNG習慣

①テストステロンとは?筋トレとの関係を先に整理

テストステロンは男性ホルモン(アンドロゲン)の代表的なもので、男性では主に精巣でつくられます。筋肉や骨、体毛、意欲など、男性らしい体と心の働きに幅広く関わるホルモンです。

筋トレとの関係は、次の2つに分けて考えると理解しやすくなります。

筋トレ直後(一時的な変化) 普段の値(安静時の値)
変化 種目・強度・量によって一時的に上昇する 筋トレを続けても、大きくは変わらないとする報告が多い
影響しやすい要素 使う筋肉の量、強度、セット数、休憩時間 睡眠、体脂肪、エネルギー(食事量)、休養、年齢など
本記事での解説 ②③ ④⑤⑥

筋力トレーニングとホルモンの関係をまとめた総説でも、筋トレによって筋力や筋肉量が増えても、安静時のテストステロン値には有意な変化が見られない研究が多いと述べられています(1)。

つまり「筋トレをすれば普段のテストステロン値がどんどん上がる」というよりも、「筋トレ直後に一時的に上がり、普段の値は生活習慣の影響も大きく受ける」と理解するのが正確です。

なお、テストステロンと栄養素の関係については、亜鉛とテストステロンの関係を解説した記事もあわせてご覧ください。

②筋トレでテストステロンは増える?研究でわかった3つのこと

  • 1 筋トレの直後は、条件次第で一時的に上昇する
  • 2 ただし、一時的な上昇の大きさと筋肉の増え方は関係が薄い
  • 3 運動習慣がなかった人は、運動を始めることで変化が見られた報告もある

筋トレの直後は、条件次第で一時的に上昇する

筋トレとホルモンの研究をまとめた総説では、テストステロンなどのホルモンが大きく上昇しやすい条件として、次のような特徴が挙げられています(1)。

一時的な上昇が起こりやすい筋トレの条件

  • 脚や背中など、大きな筋肉をたくさん使う
  • 中〜高強度の重さを扱う
  • セット数などのボリュームが多い
  • セット間の休憩が短め

また、筋トレ経験のある男性10人を対象にした研究では、同じ「6セット×10回・最大挙上重量の80%」の条件で比べたところ、マシンのレッグプレスよりもバーベルスクワットのほうが、運動直後のテストステロンの上昇が大きかったと報告されています(2)。

ただし「一時的な上昇=筋肉がつく」ではない

ここが多くの情報で見落とされているポイントです。

若い男性56人が12週間(週5日)の筋トレを行った研究では、運動直後のテストステロン(遊離テストステロン)の上昇の大きさと、筋肉量や筋力の伸びとの間に有意な関係は見られませんでした(3)。

さらに、筋トレ経験のある男性49人を対象に、軽い重さと重い重さのプログラムを比べた研究でも、運動後のホルモンの上昇と筋肥大・筋力の伸びとの間に関連は認められていません(4)。これらをふまえた2024年の総説でも、運動直後の一時的なホルモンの上昇は、筋肥大を左右する主な要因ではないと結論づけられています(5)。

「テストステロンが出るメニューだから筋肉がつく」わけではありません。筋肉の増え方を左右するのは、あくまで継続的なトレーニングの負荷と、それを支える食事・休養です。

テストステロンを意識したメニューは「大きな筋肉を使う、しっかりした強度のトレーニング」とほぼ同じ内容になるため、結果として体づくりの基本に沿ったメニューになる、と捉えるとよいでしょう。

運動習慣がなかった人は、変化が見られた報告もある

一方で、これまで運動習慣がなかった人が運動を始めた場合には、普段の値に変化が見られたという報告もあります。

運動習慣のない60代男性22人を対象にした研究では、6週間の中強度の有酸素運動(週150分)の後に、6週間の高強度インターバルトレーニング(30秒の全力運動×6本)を行ったところ、遊離テストステロンが約4.5%上昇しました(6)。

ただし、小規模な研究であり、この程度の変化が健康面でどのような意味を持つかは今後の研究が必要とされています。「運動不足の状態から体を動かす習慣をつくることには意味がありそうだ」という程度に受け止めておくのが適切です。

③テストステロンを意識した筋トレメニューと頻度

ここまでの研究をふまえると、テストステロンを意識した筋トレのポイントは次のように整理できます。

項目 目安 ポイント
種目 スクワット、デッドリフト、ベンチプレス、ロウイングなど 複数の関節・大きな筋肉を同時に使う「多関節種目」を中心にする
重さ 中〜高強度(8〜12回で限界に近づく重さが目安) フォームが崩れない範囲で、少しずつ重さや回数を伸ばす
セット数 1種目あたり3セット前後から 慣れてきたら、全体のボリュームを段階的に増やす
休憩時間 60〜120秒程度 短すぎて重さが極端に落ちるなら、休憩を延ばしてよい
頻度 週2〜3回 同じ部位は中1〜2日空けて回復時間を確保する

頻度については、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、成人に対して筋トレを週2〜3日行うことが推奨されています(7)。まずはこの頻度を無理なく続けることを優先しましょう。

スクワットは「脚の日」の主役に

前述のとおり、スクワットはレッグプレスよりも運動直後のテストステロンの上昇が大きかったという報告があります(2)。下半身は体の中でも大きな筋肉が集まっている部位のため、脚のトレーニングを避けずに取り入れることが大切です。

ただし、スクワットはフォームの習得が重要な種目です。初心者の方や腰・膝に不安がある方は、自重スクワットやゴブレットスクワットから始め、ジムのトレーナーにフォームを確認してもらうと安心です。

ジムでの週2〜3回・全身メニュー例

以下は、多関節種目を中心にした全身メニューの一例です。A・Bを交互に、週2〜3回行います。

メニューA メニューB 回数・セットの目安
バーベルスクワット デッドリフト(またはルーマニアンデッドリフト) 8〜10回×3〜4セット
ベンチプレス ショルダープレス 8〜12回×3セット
ベントオーバーロウ ラットプルダウン(または懸垂) 8〜12回×3セット
ランジ ディップス(または腕立て伏せ) 10〜12回×2〜3セット

メニューを組むときの注意点

重さや回数は体力・経験によって大きく異なります。上記はあくまで一例です。持病のある方や、関節に痛みがある方は、医師や専門家に相談のうえで運動内容を決めてください。

④ランニング・有酸素運動はテストステロンを下げる?

「有酸素運動をするとテストステロンが下がる」という話もよく見かけますが、健康づくりの範囲の有酸素運動を過度に心配する必要はないと考えられます。

テストステロンが低めになりやすいと報告されているのは、長距離走やトライアスロン、自転車競技などを、長年にわたってほぼ毎日・大量に続けてきた持久系アスリートです。このような人では、年齢から予想される値より25〜50%ほど低い状態が続くケースがあり、「運動性の低テストステロン状態(Exercise-Hypogonadal Male Condition)」と呼ばれています(8)。

ただし、この状態は体に不調をもたらす異常というより、大量のトレーニングに体が適応した結果ではないかとも考えられています(8)。

筋トレをメインにしている方であれば、週に数回・中強度のランニングやバイクを組み合わせる程度なら問題になりにくいでしょう。前述の研究でも、週150分の中強度の有酸素運動の後に高強度インターバルトレーニングを行うことで、遊離テストステロンの上昇が見られています(6)。

気をつけたいのは、有酸素運動そのものよりも「運動量に対して食事量が足りていない状態」です。これについては次の章で解説します。

⑤筋トレの成果を台無しにする5つのNG習慣

普段のテストステロン値は、トレーニング内容よりも生活習慣の影響を受けやすい面があります。せっかくの筋トレを無駄にしないために、次の5つを見直してみましょう。

見直したい5つのNG習慣

  • 1 睡眠時間を削っている
  • 2 休養日なしで追い込み続けている
  • 3 極端な食事制限で減量している
  • 4 体脂肪が増えすぎている
  • 5 栄養が偏った食事が続いている

NG1:睡眠時間を削っている

健康な若い男性10人を対象にした研究では、睡眠時間を1日5時間に制限した生活を約1週間続けたところ、日中のテストステロン値が10〜15%低下したと報告されています(9)。

仕事が忙しいと、トレーニング時間を確保するために睡眠を削りがちです。しかし、睡眠は筋肉の回復にとっても欠かせない時間です。「筋トレのために睡眠を削る」のは本末転倒と考え、まずは睡眠時間の確保を優先しましょう。

NG2:休養日なしで追い込み続けている

回復が追いつかないほどのトレーニングを続けると、パフォーマンスの低下や疲労感が長引く「オーバートレーニング」の状態に陥ることがあります。一時的にテストステロンが低下するケースも報告されています(8)。

一方で、オーバートレーニングに関する研究をまとめた系統的レビューでは、安静時のテストステロン値だけでオーバートレーニングを判断することは難しいとされています(10)。数値にこだわるよりも、「重量が伸びない」「疲れが抜けない」「やる気が出ない」といったサインが続いたら、休養日を増やすことを優先してください。

NG3:極端な食事制限で減量している

減量のために食事量を大きく減らし、運動量に対してエネルギーが足りない状態が続くと、テストステロンが一時的に低下する要因になると考えられています(8)。

減量中でも、主食を極端に抜いたり、短期間で急激に体重を落としたりするのは避けましょう。筋肉量を守るためにも、ゆるやかなペースでの減量がおすすめです。

NG4:体脂肪が増えすぎている

肥満の男性を対象にした研究をまとめたメタ解析では、体重を減らすことで総テストステロン値が上昇し、その上昇幅は体重の減少量と最も強く関係していたと報告されています。食事療法による減量でも、総テストステロン値の上昇が確認されています(11)。

「増量期」と称して体脂肪を増やしすぎるのではなく、筋トレと食事管理を組み合わせて、適正な体脂肪を保つことを意識しましょう。

NG5:栄養が偏った食事が続いている

外食やコンビニ食が中心で、たんぱく質やミネラル、ビタミンが不足しがちな食事も見直したいポイントです。

特に亜鉛は、精巣に多く含まれるミネラルで、テストステロンとの関係についても研究されています。詳しくは亜鉛とテストステロンの関係を解説した記事をご覧ください。

⑥筋トレの成果を支える食事の基本

テストステロンに限らず、筋トレの成果を引き出すには、日々の食事で次の3点を押さえることが大切です。

ポイント 具体的な内容 食品の例
エネルギーを不足させない 減量中でも、主食を極端に減らしすぎない ごはん、オートミール、パン、麺類
たんぱく質を毎食とる 1日の中で偏らせず、3食に分けてとる 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
ミネラル・ビタミンを意識する 亜鉛やビタミンD、マグネシウムなどが不足しないようにする 牡蠣、赤身肉、鮭、きのこ類、ナッツ、海藻

特別な食品を探すよりも、まずは3食の内容をこの3点に沿って整えることから始めましょう。

⑦テストステロンと筋トレに関するよくある質問

Q1. 筋トレをすると顔つきは変わりますか?

「筋トレでテストステロンが増えて顔つきが男らしくなる」という話がありますが、成人男性の筋トレによるテストステロンの変化と、顔つきの変化を直接結びつけた研究は限られています。

一方で、筋トレと食事管理で体脂肪が減ると、あご周りやフェイスラインがすっきりして見えることはあります。見た目の変化は、ホルモンよりも体脂肪の変化によるところが大きいと考えるのが現実的です。

Q2. 筋トレ後に上がったテストステロンは、ずっと高いままですか?

いいえ。筋トレ直後の上昇は一時的なもので、時間の経過とともに元の水準に戻ります。また、筋トレを続けても安静時の値は大きく変わらないとする研究が多く報告されています。

Q3. 自分のテストステロン値を知るにはどうすればいいですか?

医療機関での血液検査で測定できます。テストステロンは一般的に朝に高く、夕方にかけて低くなる日内変動があるほか、筋トレ直後には一時的に上昇します。検査を受ける時間帯や、前日・当日の運動については、医療機関の指示に従ってください。

Q4. 筋トレをしても疲れや意欲の低下が続く場合は?

十分に休養をとっても、疲れやすさ、意欲の低下、気分の落ち込みなどが続く場合は、トレーニングの問題ではなく体の不調が隠れている可能性もあります。自己判断でトレーニング量を増やしたりせず、泌尿器科や男性の健康を扱う外来などの医療機関に相談してください。

まとめ

今回は、テストステロンと筋トレの関係について、研究をもとに解説しました。

  • 筋トレの直後は、大きな筋肉を使う・中〜高強度・ボリューム多め・休憩短めの条件で、テストステロンが一時的に上昇しやすい
  • ただし、一時的な上昇の大きさと筋肉・筋力の伸びには関係が薄く、筋トレを続けても安静時の値は大きく変わらないとする報告が多い
  • メニューはスクワットなどの多関節種目を中心に、週2〜3回から続けるのが基本
  • 健康づくりの範囲の有酸素運動は過度に心配しなくてよい
  • 睡眠不足、休養不足、極端な食事制限、体脂肪の増えすぎ、栄養の偏りは見直したい習慣

「テストステロンを上げるための特別なメニュー」を探すよりも、基本に忠実なトレーニングを続け、睡眠と食事を整えることが、結果的にいちばんの近道です。できることから一つずつ取り入れてみてください。

参考文献・資料(11件)
  1. Kraemer WJ, Ratamess NA. Hormonal responses and adaptations to resistance exercise and training. Sports Med. 2005;35(4):339-361.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15831061/
  2. Shaner AA, et al. The acute hormonal response to free weight and machine weight resistance exercise. J Strength Cond Res. 2014;28(4):1032-1040.
    https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2014/04000/the_acute_hormonal_response_to_free_weight_and.22.aspx
  3. West DWD, Phillips SM. Associations of exercise-induced hormone profiles and gains in strength and hypertrophy in a large cohort after weight training. Eur J Appl Physiol. 2012;112(7):2693-2702.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22105707/
  4. Morton RW, et al. Neither load nor systemic hormones determine resistance training-mediated hypertrophy or strength gains in resistance-trained young men. J Appl Physiol. 2016;121(1):129-138.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27174923/
  5. Van Every DW, D'Souza AC, Phillips SM. Hormones, Hypertrophy, and Hype: An Evidence-Guided Primer on Endogenous Endocrine Influences on Exercise-Induced Muscle Hypertrophy. Exerc Sport Sci Rev. 2024;52(4):117-125.
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11460760/
  6. Hayes LD, Herbert P, Sculthorpe NF, Grace FM. Exercise training improves free testosterone in lifelong sedentary aging men. Endocr Connect. 2017;6(5):306.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28515052/
  7. 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 情報シート「筋力トレーニングについて」.
    https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-005.html
  8. Hackney AC. Hypogonadism in Exercising Males: Dysfunction or Adaptive-Regulatory Adjustment? Front Endocrinol. 2020;11:11.
    https://www.frontiersin.org/journals/endocrinology/articles/10.3389/fendo.2020.00011/full
  9. Leproult R, Van Cauter E. Effect of 1 week of sleep restriction on testosterone levels in young healthy men. JAMA. 2011;305(21):2173-2174.
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4445839/
  10. Cadegiani FA, Kater CE. Hormonal aspects of overtraining syndrome: a systematic review. BMC Sports Sci Med Rehabil. 2017;9:14.
    https://link.springer.com/article/10.1186/s13102-017-0079-8
  11. Corona G, et al. Body weight loss reverts obesity-associated hypogonadotropic hypogonadism: a systematic review and meta-analysis. Eur J Endocrinol. 2013;168(6):829-843.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23482592/

※本記事は健康・運動・栄養に関する一般的な情報提供を目的としたもので、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。持病のある方、服薬中の方、体調に不安のある方は、運動を始める前に医師へご相談ください。

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