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記事: クレアチンではげる?薄毛・抜け毛とDHTの関係を管理栄養士が解説

クレアチンではげる?薄毛・抜け毛とDHTの関係を管理栄養士が解説
クレアチン

クレアチンではげる?薄毛・抜け毛とDHTの関係を管理栄養士が解説

管理栄養士 堀川えり

監修者

堀川 えり管理栄養士・フードスペシャリスト

医療栄養学を専攻し、医療機関での栄養カウンセリング、小学校や保育園での調理・栄養士業務を経てフリーの管理栄養士として独立。

「クレアチンを飲むとはげる」という話を聞いて、飲み始めるかどうか迷っていませんか?筋トレに取り組む方の間で、今も語られている噂です。

結論から言うと、クレアチンの摂取が脱毛や薄毛を引き起こすという証拠は、現時点で示されていません(3)。噂の出どころは2009年に発表された1本の研究で、その内容には複数の限界が指摘されています。

ただし、AGA(男性型脱毛症)の家族歴がある方など、体質によって考え方が変わる部分もあります。今回は、噂の元になった研究の中身と、その後の研究で分かっていることを整理します。

本記事でわかること

  • 「クレアチンではげる」という噂の出どころ
  • DHTとAGAのメカニズム
  • 2009年の研究に指摘されている限界
  • 薄毛が気になる場合の考え方と摂取量の目安

結論:現時点で「はげる」証拠は示されていない

初めに結論をお伝えすると、クレアチンの摂取が脱毛や薄毛を引き起こすという証拠は示されていません。国際スポーツ栄養学会(ISSN)も同様の見解を発表しています(3)

「クレアチン=はげる」という噂は、2009年に発表された1本の研究の結果が拡大解釈されて広まったものです。その研究には、サンプル数や期間、測定対象の面でいくつかの限界が指摘されています(1)(3)

一方で、リスクを完全に否定できるだけの大規模・長期の研究も不足しているのが現状です。AGAの家族歴がある方は、摂取前に専門医へ相談したうえで判断すると安心でしょう。

①「クレアチンではげる」という噂の出どころ

噂の始まりは2009年に発表された一つの論文

2009年、南アフリカのステレンボッシュ大学で行われた研究が発表されました。大学のラグビー選手を対象に、3週間のクレアチン摂取が男性ホルモンのバランスにどう影響するかを調べたものです。

その結果、クレアチンを摂取したグループにおいて、DHT(ジヒドロテストステロン)の数値が有意に上昇したと報告されています(1)

拡大解釈による広まり

DHTは、男性型脱毛症(AGA)の関与が指摘されている物質の一つです(2)

この論文が「クレアチンを飲むとDHTが増える=はげる」といった解釈で広まり、今日でも筋トレを行う方の間で語られる迷信となりました(3)

しかし、この論文の結果だけで「クレアチンを飲むとはげる」と結論づけるのは早いと考えられます。まずは、脱毛のメカニズムとDHTの関係を確認してみましょう。

②DHTとAGAのメカニズム

薄毛のメカニズムには、ホルモンだけでなく遺伝的素因が深く関わっています(4)

DHT(ジヒドロテストステロン)とは?

DHTは、男性ホルモンであるテストステロンが、体内の「5αリダクターゼ」という酵素によって変換されることで生成されます(3)

DHTが毛乳頭細胞において髪の成長サイクルを短縮させると、軟毛化(髪が細くなる現象)が進行し、最終的な脱毛につながることが指摘されています(3)(6)

ただし重要なのは、DHTが血液中に存在するだけで髪が抜けるわけではないという点です。DHTが毛根にある受容体と結合し、髪の成長サイクルを乱すことで初めて影響が出るとされています(6)

AGA発症のポイントは「受容体の感度」

AGAの発症には、毛乳頭細胞などにある「男性ホルモン受容体」の感受性が大きく関わっています(5)

遺伝的要因 特徴
受容体の感受性が高い場合 少量のDHTでも毛髪に影響を受けやすい
受容体の感受性が低い場合 DHTが増えても、毛髪への影響はほとんどない

つまり、AGAの遺伝的素因がない方にとっては、クレアチンの摂取によるホルモンの濃度変化が脱毛に直結する可能性は非常に低いと考えられます(3)。すべての方が過度に不安になる必要はないと言えるでしょう。

「DHTが増えると必ずはげる」が誤解である理由

2009年の研究で測定されたのは血中のDHT濃度の変化であり、毛髪付近の濃度や抜け毛の本数を測定したものではありませんでした(1)

日本皮膚科学会のガイドラインによると、AGAはテストステロンが特定の部位(前頭部や頭頂部)の毛乳頭細胞でDHTに変化し、受容体に結合することで進行すると報告されています(6)

つまり、全身を巡るホルモンの量が増えても、必ず頭皮で脱毛が起きるとは言い切れないのです。

③2009年の研究に指摘されている限界

「クレアチンではげる」という主張の根拠には、この2009年の研究がよく用いられます。しかし、内容を詳しく読み解くと、いくつかの限界が見えてきます(3)

DHTの上昇幅が正常範囲内であった

この研究では、クレアチン摂取後にDHTが40〜56%上昇したとされていますが、上昇後も正常範囲内に収まっています(3)。異常値まで跳ね上がったわけではなく、健康な男性の数値の範囲内であった点は、あまり強調されていません。

相関関係と因果関係は別物である

髪の成長サイクルは前頭部や頭頂部での局所的な反応であり(6)、血中のDHT濃度の上昇が実際の抜け毛につながるとは限らないと考えられています。この研究において、被験者の選手に抜け毛が増えたという報告がないことも理由の一つです(1)(3)

比較対象の数値に偏りがあった

この研究では、実験開始時点でのクレアチン摂取群のDHT値が、対照群よりも23%低かったという指摘があります(3)。DHTの上昇率が大きく見えたのは、もともとの数値が低かったという統計的な背景が含まれている可能性が高いと報告されています(3)

また、以下の3つの観点からも慎重な判断が必要です。

注目ポイント 解釈の着眼点
サンプル数の少なさ 対象はわずか20名前後のラグビー選手であり、統計的な正確性に限界がある(1)
実験期間の短さ わずか3週間の観察研究であり、数か月から年単位の毛周期への影響を評価するには不十分な可能性(1)(8)
脱毛そのものは未確認 血中のDHT濃度を測ったのみであり、実際に髪が抜けたという事実は確認されていない(1)

以上の点から、2009年の論文のみを根拠に「クレアチンの摂取=はげる」と結論づけることは難しいと考えられます。

④その後の研究で分かっていること

この論文以降、多くの研究をまとめた信頼性の高い報告(システマティックレビュー)が発表されていますが、クレアチンの摂取によるDHTの有意な増加は報告されていません(3)(7)

最新の国際スポーツ栄養学会(ISSN)の報告でも、クレアチンサプリメントの摂取がDHTの増加や脱毛、薄毛を引き起こすという証拠は示されていない、との見解が発表されています(3)

一方で、リスクを完全に否定する大規模・長期の研究は不足しているのが現状です。現時点では「薄毛の直接的な原因になるとは考えにくい」という表現が、事実に近いと考えられます。

⑤薄毛が気になる場合の考え方

科学的には可能性が低いと言われても、AGAの家族歴がある場合は不安に感じる方も多いはずです。ここでは、不安やリスクを抑えるためのポイントを2つ紹介します。

不安な場合はまず専門医へ相談する

すでに薄毛に悩んでいる、あるいはAGAの進行が不安でサプリメントの摂取を迷っている場合は、使用前に皮膚科や薄毛専門のクリニックへの受診をおすすめします。

日本皮膚科学会のガイドラインによると、AGAの診断では以下の内容を確認することが一般的です(6)

AGA診断の一般的な項目

  • 1AGAの家族歴(親族に薄毛の方がいるか)
  • 2脱毛の経過(いつ頃から、どのように抜けてきたか)
  • 3視診(マイクロスコープ等による前頭部や頭頂部の確認)

専門医による診断を一度受けておくことで自分の体質を把握でき、その後は安心して体づくりに集中できるでしょう。

過剰摂取(ローディング)を避ける

筋肉内のクレアチン貯蔵量を一気に増やす「ローディング(1日20gを5〜7日間摂取)」という手法がありますが、消化器官への負担も指摘されています(3)(9)

初めから1日3〜5gずつの摂取を継続しても、約28日後には体内のクレアチン貯蔵量が飽和状態になるため(9)、焦らず適量を守ることがリスクを抑えるポイントです。

摂取量やタイミングについては、クレアルカリンの飲み方・摂取量の記事で詳しく解説しています。

⑥クレアルカリンという選択肢

一般的なクレアチン(モノハイドレート)は、水に溶けると「クレアチニン」という代謝産物に変化しやすく、その吸収効率を補うためにローディングによる摂取が効率的だと考えられています(10)

一方、pHがアルカリ性に調整された「クレアルカリン」は、体内でクレアチニンに変化することはほぼなく、少量でも吸収されやすいのが特徴です。ローディングが不要なため、急激な摂取量の増加を避けたい方にとって、選択肢の一つと言えます。

クレアチンとクレアルカリンの違いは、クレアルカリンとクレアチンの違いで比較しています。クレアルカリン自体のデメリットについては、クレアルカリンのデメリットもあわせてご覧ください。

LEVEL.FITクレアルカリンカプセルの特徴

特徴 内容
ローディング不要 1日3粒(約2g)の低用量設計
国内製造 国内の工場で製造
アンチドーピング認証 274種類の禁止薬物検査をクリア

※持病のある方・服薬中・妊娠授乳中の方は、使用前に必ず医師にご相談ください。

⑦よくある質問

ここからは、クレアチンの摂取と薄毛や脱毛についてよくある質問に回答します。

Q1. クレアチンを飲んで本当にはげることはありますか?

A. 国際スポーツ栄養学会の最新の見解では、クレアチンサプリメントの摂取によって脱毛や薄毛が引き起こされるという証拠はないとされています(3)

2009年の研究以降、DHTの増加との因果関係を証明する一貫した研究データも報告されていません(3)

Q2. AGAの家族歴があります。クレアチンは避けるべきですか?

A. AGAの遺伝的素因がある場合は、DHTの影響を受けやすい可能性は否定できません(4)

不安がある場合は、一度専門医に相談し、自身の状態を把握したうえで摂取を検討するのがよいでしょう。

Q3. はげると言われるのに、なぜプロアスリートが使っているのですか?

A. アスリートや運動習慣のある方の間では、筋肉量やパフォーマンス、回復力の維持などのメリットが評価されているためです(3)

また、1日あたり3〜5gの摂取量は、健康に悪影響がない範囲として広く認知されています。

Q4. 女性がクレアチンを飲んでも薄毛になりますか?

A. 女性の薄毛は、全身性の疾患に伴うものや貧血、急激なダイエットなどが主な要因であり、男性とはメカニズムが異なることが多いです(6)

クレアチンの摂取が女性ホルモンのバランスを崩して脱毛を招くという根拠はありません。

Q5. クレアチンをやめたらDHTは元に戻りますか?

A. 国際スポーツ栄養学会の見解では、クレアチンサプリメントの摂取がDHTの永続的な増加を引き起こすという証拠は示されていません(3)

また、摂取を中断すれば約4〜6週間ほどで体内のクレアチン濃度は元の状態に戻ることがわかっています(9)

まとめ

今回はクレアチンと薄毛・抜け毛の関係について、噂の出どころと研究の内容から解説してきました。

  • クレアチンの摂取が脱毛や薄毛を引き起こすという証拠は、現時点で示されていない(3)
  • 噂の出どころは2009年の1本の研究で、サンプル数・期間・測定対象に限界が指摘されている(1)(3)
  • AGAの発症には受容体の感受性など遺伝的素因が深く関わっている(4)(5)
  • リスクを完全に否定する大規模・長期研究は不足している
  • 持病のある方・服薬中・妊娠授乳中の方は医師にご相談ください

噂の中身を正しく把握したうえで、ご自身の目的に合ったサプリメントを選んでみてください。

最終更新日(2026.9.12)

参考文献(10件)
  1. van der Merwe J, et al. Three weeks of creatine monohydrate supplementation affects dihydrotestosterone to testosterone ratio in college-aged rugby players. Clin J Sport Med. 2009;19(5):399-404.
  2. 国民生活センター|美容医療の基礎知識 第8回「AGA治療、植毛」
  3. Antonio J, et al. Common questions and misconceptions about creatine supplementation. J Int Soc Sports Nutr. 2021;18(1):13.
  4. 板見智. 男性型脱毛のメカニズムと治療戦略. 炎症・再生. 2004;24(2):118-120.
  5. Himari Matusaka, et al. Comprehensive transcriptome data to identify downstream genes of testosterone signaling in dermal papilla cell. Scientific Data. 2022;9(1):731.
  6. 日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
  7. Rawson ES, et al. Dietary supplements for health, adaptation, and recovery in athletes. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2018.
  8. 公益社団法人日本毛髪科学協会|髪の寿命(ヘアサイクル)
  9. ISSN Position Stand: Safety and efficacy of creatine supplementation. J Int Soc Sports Nutr. 2017.
  10. クレアルカリン®

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